朝日新聞 2000年3月14日付け記事全文


           グリーンパワー 観葉植物に空気清浄力

                       金沢経済大学教授の研究

室内のインテリアとして人気の観葉植物に、新築の住宅などで問題になっている「シックハウス症候群」の原因となる化学物質を吸収する働きがあることが、金沢経済大の大藪多可志教授(センターシステム工学)の研究で明らかになった。鉢植え一つでもかなりの空気清浄効果が期待できることから、手軽な予防・軽減策として関係者も注目している。米・サンディエゴで21日から開かれる「水と土壌環境に関する国際会議」で発表される。

新築や改築後の建物に入ると、目がチカチカしたり、のどや頭が痛くなったりするのがシックハウス

症候群。
実験では、壁紙や合板の接着剤、家具などの塗料、カーテンなどに含まれるホルムアルデヒド、揮発性有機化合物のトルエン、キシレン、アセトン、アンモニア、ベンゼン、さらにたばこの煙、自動車 の排ガスなどについて調べた。300リットルの密閉ガラス容器に高さ20センチ余りのポトスやサンセベリアの鉢植えを入れ、化学物質の濃度を一般的な新築住宅の3~4倍にあたる50ppmにして変化をみた。明るさは蛍光灯で1000ルクスに保った。
その結果、ポトスを入れた容器では、ホルムアルデヒド、アンモニア、たばこの煙が約6時間で検出されなくなった。同様に排ガスは約15時間、アセトン約50時間、トルエン60~70時間、ベンゼン70時間、キシレン約100時間でそれぞれ検出されなくなった。サンセベリアでもほぼ同じ結果が得られた。切り花でも実験したが効果は鉢植えより小さかった。
計測数値をもとに算出したところ、ホルムアルデヒド濃度が10-20ppmの一般的な新築の6畳洋間なら、小ぶりな鉢植えを5個ほど置けば、世界保健機構(WHO)の規制値である0.08Ppm以下におおむね保てる計算になった、という。
大藪教授は「根本的なシックハウス対策は原因物質を使わない家造りだが、今ある住宅での現実的な方策として、視覚的癒し効果もある観葉植物に着目した。換気などとともに軽減や予防にやくだててもらえれば」と話している。